くものしゅの日記

子育て中の ph. D.です。専門は確率統計.情報理論等

幼児に数を教える難しさ。同値類と反射律について。

うちの子、数を数えたり、数字を書いたりできるんですけど、ふと、思ったんです。
幼児にとっての数とは何だろう?
数は意外と難しい概念です。例えば
1=1
は当たり前ですよね。でも、1って何でしょうか?
例えば、1つのリンゴは「1」。1つのブドウも「1」ですよね。ということは、
1つのリンゴ = 1つのブドウ
でしょうか?もちろん、これはおかしいです。「1」を実際の物「1つのリンゴ」と同じものである、と考えることが間違いですね。
では、どう考えればよいか・・・・例えば、
「1」を同値類
と考えれば数学っぽいです。
えっ?同値類って何?
と疑問に思う方のために、少し説明させてください。
 大ざっぱに言うと、同値類とは「ある意味で同じものを全部集めたもの」です。
例えば「出身地という意味で同じ人を全部集めたもの」は同値類の例です。都道府県別の同値類はこんな感じです。
数の場合は「個数という意味で同じものを全部集めたもの」は同値類になります。
  • {1つのリンゴ、 1つのブドウ、 1つのイチゴ、・・・}は「1」という同値類
  • {2つのリンゴ、 2つのブドウ、 2つのイチゴ、・・・}は「2」という同値類
  • 他にも「3」「4」「5」・・・といった同値類があります。
ところで、1、2、3、・・・が同値類ならば、幼児に数を教える前に、同値類について学ぶ必要がありそうですね。大変ですが、頑張って同値類について学んでみましょう。
ここから少し難しくなります。
同値類とはある意味同じものを全部集めたものです。「ある意味同じ」という言葉を記号で ~ と書くことにします。a と b がある意味同じなら
a ~ b
と書きます。例えば、「出身地が同じ」という意味で~を使うとすると
と書けます。
この ~ は次の3つ性質が常に成り立ちます。
  1. a~a
  2. a~b ならば b~a
  3. a~b かつ b~c ならば a~c
この3つ。分かり辛いですよね。出身地の例で言うとこうなります。
  1. 大泉洋大泉洋の出身地は同じ。同一人物だから当たり前ですよね。
  2. 大泉洋生田斗真の出身地は同じ、ならば、生田斗真大泉洋の出身地は同じ。入れ替えただけだから当たり前ですよね。
    大泉洋生田斗真の出身地は同じで、生田斗真小日向文世も同じならば、大泉洋小日向文世も出身地同じ。ちょっと分かり辛いけど、よく見てみると、これも当たり前です。
どうでしょうか。分かり辛いですが、この3つの性質は重要です。重要ですので、この性質に名前がついています。数学用語ですが、
  1. a~a
    反射律といいます。同じものは同じということです。
  2. a~b ならば b~a
    対称律といいます。書き順を入れ替えても同じということです。
  3. a~b かつ b~c ならば a~c
    推移律といいます。a と b と c が同じなら、間にある b を省略して、a と c は同じと書いてもいい、ということです。
この3つの性質「反射律、対称律、推移律」は、同じものに対して成り立つことを、記号で表したものです。同値類のメンバーは全部、ある意味同じものですから、3つの性質「反射律、対称律、推移律」は成り立ちます。同値類と〜についてはここまでにします。実は、ここからが本当に書きたかったことです。何かと言いますと、
幼児に数を教える難しさ
についてです。
まあ、幼児というか、うちの子に数を教えるのが難しかったんですよ。ていうか、数の教え方を失敗したんです。ほんと。はじめに失敗したんです。どのような失敗だったか、と言いますと、ものを数えることで数を教えようとしたんです。これが失敗だったんです。
ものの個数を数えても、数を理解できなかったのです。
ここからは反省を込めての回想ですが、はじめにしたことは、物の数を一緒に数えることでした。
1,2,3
と娘と色々なものを数えました。●●●を1,2,3と数えるという経験。これを何度も繰り返しました。
●●●を1,2,3
●●●を1,2,3
●●●を1,2,3
何度も繰り返しました・・・・しかし、だめでした。数えることで数を教えようとしたのですが、うまくいかなかったんです。
何が難しいのか?
そのときは分かりませんでした。
しかし、今は見当がついています。うちの子には「同じ」が難しかったのです。
ある日に数えた●●●と別の日に数えた●●●が同じである、
ということが分からなかった、ということです。記号で書くと
●●●~●●● が分からない、
数学用語を使うと
「対称律」が分からない、
くだけた言い方をすると
同じものが同じものであるということが分からない、
ということです。だから数が分からなかったのです。
では、どのような対策が必要か?
うちの子の場合はプリントをしました。
上と下で同じものを選ぶ
というプリントで「同じ」が分かるように練習しました。そして、そのプリントができるようになった頃、数が分かるようになりました。
●●●を1,2,3と数えて、3という数を教えることができたのです。
 
私の経験では、数を教える前に、「同じものが同じもの」と教える必要がありました。それは
  • 反射律 a~a
を理解する、ということです。数が同値類であるならば、反射律だけではなく、
  • 対称律  a~b ならば b~a
  • 推移律 a~b かつ b~c ならば a~c
も重要でしょう。
対称律は、これは練習。プリントワークで何とかなりそうです。
●●●~3 ならば 3~●●●
という性質ですので、
●●●を見せて3を書かせるプリント
3を見せて●●●を選ばせるプリント
で学習すれば対称律は理解できそうです。
推移律はちょっと複雑になりそうですので、今回は、ここで終わりたいと思います。機会がありましたら、いつか書きたいと思います。
 
今回は子育てと同値類について書いてみました。コメント等がありましたら嬉しいです。
 
うちの子が実際に使った教材の一部です↓

学研:表はシール、裏は認知を刺激する教材です。2~3歳向け。「同じ」を学習する内容もあります。

 シールのみでしたら、公文もおすすめです。

公文:シール(2~3歳向け)。少しづつ難しくなりますので、はじめてのシールはこちらが良いかも。

 

全部読んでいただきありがとうございます。